腰痛と脳・精神の関係

慢性痛には「思い込みが関係する」

実際に、慢性腰痛に苦しんでいる方々が
こう言われると不快に感じることもあると思います。

ただ、実際に
「腰が悪いという思い込みが、腰痛を作る」といっても
過言ではない部分もあるんです。

「思い込み」を捨てた瞬間に腰痛にまつわる
不安、心配、痛み、不調から解放された人もたくさんいます。

むかし、とあるテレビ番組での話…

アフリカのタンザニアへ
先住民の生活調査へ行く企画がありました。

先住民の方々ですから
現代的な機器などは利用せず
毎日の生活は自分達の体を使って
アレコレとこなしている。

そこで、テレビ局の人たちが聞いたんです。

「なんだか腰が痛くなりそうですね！」って。

すると、不思議そうな顔をして

「腰なんて痛くならないよ」と
先住民は答えました。

実際に、色々と聞いてみると
「腰が痛い人」は誰1人としていない…。

当然、日本のスタッフは驚くのですが

「何もしていないのに腰が痛い？」
「何か悪い病気にでも罹っているんじゃないか？」

と、真顔で心配される始末。。。

「誰1人として腰痛はない」といっても

木から落ちてしまった、転んでしまったなどの
アクシデントによって起こる「急性腰痛」「怪我」は
生きている限り当然あります。

ただ、その痛みが長引くことはなく
怪我が治っていくのと同じように
自然体のままに自然治癒する。

だから、彼らには
「腰痛」という概念も言葉も存在しない。

「怪我の治療」などはあるようですが
何か特別な病気にでもならない限り
「慢性痛の治療」というものも存在しない。

痛みが長引くことはなく
「怪我は、然るべき期間と経過で治る」
という認識で、事実そうなっている。

だから、腰痛を治す治療院もない。

腰痛を治す病院も検査機器もない。

テレビや雑誌、広告などで
腰痛への不安や恐怖を煽る情報もない。

そりゃあ、毎日身体を使って
鍛えていれば腰痛なんてないでしょう。

と、感じた人たちもいると思いますが…

「身体を鍛えている」
「筋肉がある」

というだけでは腰痛はなくなりません。

実際、バリバリに鍛えているアスリートや
トレーニング上級者でも慢性腰痛を訴える人たちが
かなりの人数でいます。

腰痛患者の中には
確かに、筋力不足、運動不足が
課題の腰痛もありますが

筋肉や骨格などの
【構造的】な問題だけでは
慢性腰痛にはなりませんから

「肉体的な強さ」
「鍛えているから」

という理由だけでは納得できませんね。

同じ現代を生きる人間なのに
こうも違うのはなぜか？

この違いを考えていくことで
慢性腰痛から抜け出すヒントを見つけられそうですね。

慢性腰痛にならない《 1つ目の要因 》

「何もしていないのに腰が痛い？」
「何か悪い病気にでも罹っているんじゃないか？」

「腰痛」という概念も言葉も存在しない。

先住民の方々が当たり前のように言う
この前提がすごく大切に思えます。

そもそも、腰痛を恐れていない。

文明が栄え、耳や目からいろいろな情報が入り続け
腰痛だけではなく健康情報や治療法などが
潜在的に目から耳から入ってきて
不安、恐怖などを作り出してしまう…。

不安、恐怖は脳の中心（大脳辺縁系）に働きかけ
実際に痛みを作ったり、不調を招く。

学校に行くとお腹が痛くなる…
匂いや視覚、空間など記憶や体験から
痛みや不調が起きる…

こんなのも近い関係性ですね。

過去の記憶（体験、トラウマなど）を
管理するのは【海馬】という部分。

痛みを鎮めたり、治癒に必要な
ホルモン分泌を管理するのは【扁桃体】という部分。

２つとも脳の中心にありますが
実は隣同士で常に影響し合っています。

喜怒哀楽を刺激された感情的な出来事は
記憶に残りやすいですよね？

これも、同じような仕組み。

つまり

腰痛に対しての不安、恐怖などの情報が
脳、潜在意識に蓄積してしまうと

痛み、ホルモン、自律神経の働きに悪影響を及ぼし
慢性化させる1つの要因となることがある！

ということ。

生活環境の大きな違いが
こうした部分にも関係しているということですね。

《 2つ目の要因 》は治癒力の違い

人間の身体は・・・

精神・脳・中枢神経

↓

自律神経、ホルモン分泌

↓

末梢神経、内臓、血管などの循環

↓

背骨、関節、筋肉の動き

といった
【上下関係】から働きが作られます。
（わかりやすく省略してます）

シンプルに、この関係から紐解けば

筋肉や関節のみを整えても
自律神経や内臓が整っていなければ
元に戻りやすい。

内臓や自律神経へのアプローチをしても
精神、感情、思考、脳の働きが整っていなければ
それもまた元に戻りやすい。

人間の脳や中枢神経は
外部からの常に影響受けて
（感覚入力）

目から入ってくる景色
耳から入ってくる音
肌で感じる気温、風などの空気

などの情報（固有感覚）は

脳に伝わり
自律神経へ反応を起こします。

その反応が体を回復へ向かわせたり
反対に、不調を呼んだりもしてしまう。

こうした外部環境から影響受ける
神経や精神的な部分に加えて

自給自足の中では
天然・自然なものを食べるはずですから

その点でも

化学物質まみれな現代人よりも
整っていると言えるでしょう。

さらに、興味深いことに

彼らには
「うつ病」などの精神性疾患も存在しません。

うつ病などの精神性疾患の方と
慢性痛に苦しむ方の脳には共通点があり…

前頭葉の働きが低下していると言われています。
（前頭前野）

「痛み」と「不安」「恐怖」などの
感情や精神が密接に関連しているといえる
１つの例ですね。

どんな人でも
外部環境や対人関係、目の前の出来事から
情報をキャッチして
（感覚入力）

脳、精神、自律神経に反応が起きます。

反応が起こるのは自然なことで
むしろ、正常な証拠。

だから
反応してしまう自分を責める必要も無いし

自分に対して
「正常じゃない」
「普通じゃない」
「病気かな？」

とネガティブな決めつけや
そんな思考を持つ必要も一切ありません。

自分に起きている反応を
敏感に察知する状態なのか？

あまりに気にならず
鈍感でいられる状態なのか？

そういった部分の違いだと考えておきましょう。

ちょっとした実験をしてみます。

こちらの画像をよくよく見ながら
深呼吸を3回してみてください。

次は、こちらの画像で
同じように深呼吸を3回。

次は、こちらの画像で深呼吸を3回。

最後に、こちらの画像で深呼吸を3回。

【人混み画像】と
【太陽やお花のキレイな画像】

それぞれで
深呼吸に違いを感じましたか？

感じた人もいれば
そうでない人もいると思いますが

おそらく、違いを感じた人は

「人混み」よりも

「キレイな景色」の方が
深く息を吸えたのではないでしょうか？

ストレスを与え自律神経が乱れやすい
【人混み画像】では

緊張傾向が出て呼吸が浅くなり
（交感神経優位）

【キレイな景色】の方では
リラックス、開放感などで

力が抜けて深い呼吸ができる。
（副交感神経優位）

交感神経が強く働くと
呼吸が浅くなり、血管も細くなり…

局所的な血流不良を起こします。
（手足が冷たくなるなども）

この状態が続いてしまうと
回復力も停滞し、痛みが出やすい環境が
出来上がってしまいます。

反対に、適度なリラックスがある状態なら
筋肉や神経の緊張も和らぎ…

血流改善、睡眠・回復力の向上が期待できます。

何度も言うように
痛みの原因は１つではなく
複数の条件が揃うことで発生します。

こうした自律神経の働きが
すべての原因ではありませんが

「痛みの負の連鎖」
「治らない慢性痛」

との関連は深く施術を進める上でも
とても大切な部分になります。

生きている限り、毎日の生活から
少なからず影響を受け

体内も自律神経も変化しています。

そういった下地からはじまり…
「慢性腰痛」「治らない痛み」への強い思い込みや
ネガティブな連想、不安、恐怖など

本当に痛みを作ってしまうことがある。

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